物質工学分野
研究室名
量子界面物性研究室   
研究室スタッフ
神谷 格 (教授)   Ronel Christian Intal ROCA (助教)   Hanif Mohammadi (ポストドクトラル研究員)
研究室タイトル
量子構造の表面・界面の光・電子・化学物性の基礎研究・制御・応用
研究室概略
量子ナノ構造を物理的・化学的に作製し、その表面・ 界面における電子的な挙動の某礎研究を行っている。応用として、光・ 電子・化学的な機能の制御と新たな機能創出を目指している。 特に電子物理と化学の境界領域に焦点を当てた研究に取り組んでいる。
主な研究テーマ
・量子構造表面界面の光・電子物性
・III-V族半導体のエピタキシャル結晶成長機構
・ナノ粒子のコロイダル合成と物性
・量子構造によるエネルギー変換素子
個別研究テーマ
  • 酸化物によるⅢ-Ⅴ族化合物半導体量子構造のパッシベーションと被覆

    神谷 格, Ronel Christian Intal ROCA, 岩田 直高

    2017年度 - 現在

     詳細

    気相・液相法を用い、酸化物によるⅢ-Ⅴ族化合物半導体の量子井戸・量子ドットの表面パッシベーション及び被覆を実現させる。電子的に安定な表面を得ると共に、歪や相互拡散を抑制し、量子構造本来の物性を出現させることを目指す。
    Passivation-capping of III-V of III-V semiconductor quantum wells and dots by oxides using vapor and/or liquid phase techniques. The goal is to realize electronically stable surface which is free from strain to obtain surface quantum structures in their ideal forms.

    成果:

    2023年度
    パッシベーション被覆する材料の検討を行い、酸化亜鉛と酸化アルミニウムで大きな違いがあることを見出し、その原因が結晶性と表面洗浄化効果によるものとの傍証を得た。

    2022年度
    表面InAs量子ドットの酸化物パッシベーションにより、波長シフトの殆どない蛍光を、強度を増強して得ることに成功した。

  • GaAsにおける長波長発光欠陥の生成機構解明と制御

    神谷 格

    2017年度 - 現在

     詳細

    エピタキシャル成長に用いられる GaAs 基板は、種々の近赤外発光源となる欠陥を含む。 我々の検討では、基板自身に含まれるものの他、その初期処理により種々の欠陥が生成されることなどが分かってきた。 これらの起源や制御法を解明し、赤外線発光素子やアップコンバージョン素子への応用を目指す。

    成果:

    2023年度
    基礎的な検討は2022年度までに終了し、引き続き、歪格子系の結晶成長時の欠陥低減に応用している。

    2022年度
    これまでに解明した GaAs 欠陥に留意しながら、新規素子構造の検討を進めている。

  • SML成長法を用いたInGaAs系量子構造の開拓

    神谷 格, Ronel Christian Intal ROCA

    2017年度 - 現在

     詳細

    MBE による Submonolayer (SML) 積層法を用い InGaAs 系量子構造を精密制御して作製し、発光波長(0.9-1.8micron)などの構造・物性制御とその機構解明を行っている。
    更に、この手法で得られる量子構造のスピントロニクス応用への展開を検討している。

    成果:

    2023年度
    2D-3D 構造に円偏光した励起光を照射することで、スピン調整ができることを見出した。

    2022年度
    サブモノレイヤー成長法により、2D-3D遷移の条件の解明と、その機構の検討を行った。

  • InAs量子構造を用いた光アップコンバージョン

    神谷 格, Ronel Christian Intal ROCA

    2017年度 - 現在

     詳細

    次世代の太陽電池応用を睨み、InAs系の量子構造を用いて、赤外光を可視光を含めた短波長の光にアップコンバートする素子の探求を行っている。

    成果:

    2023年度
    SML 積層法を用いて量子ディスクが作製できることを実証。

    2022年度
    光アップコンバージョン素子として有望な量子ディスクの試作に取り組んでいる。

  • 半導体界面の基礎電子物性

    神谷 格, Ronel Christian Intal ROCA

    2017年度 - 現在

     詳細

     量子構造を中心とした半導体の表面・界面の電子物性の基礎的な理解を行いつつ、その応用を探る。きちんと表面・界面の電子状態を制御する事により、材料の新しい機能の創出を目指す。
    InAs量子ドットの表面仕事関数の計測、パシベーション等を検討している。

    成果:

    2023年度
    InAs 表面量子ドットのパッシベーション法、その原料依存性などを検討し、有効なパッシベーションを行うための指針の提案を行った。

    2022年度
    InAs 表面量子ドットのパッシベーション法とその機構の検討を行った。

  • エピタキシャル結晶成長とその機構解明

    神谷 格, Ronel Christian Intal ROCA

    2017年度 - 現在

     詳細

    分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy)と液相合成法を用いて、半導体を中心としたナノ構造の作製を行い、物性研究を行っている。その過程で、結晶の成長機構の基礎的な理解を深め、構造体作製の制御を行う他、新規の構造作製法を探っている。
     具体的には
    (1)MBEによる半導体量子井戸構造
    (2)MBEによる自己形成量子ドット
    (3)MBE-金属蒸着によるナノ電極利用のナノ電子素子
    (4)コロイダル半導体量子ドット
    等が対象。MBE作製によるInAs量子ドットの歪・相互拡散とその電子物性を検討。

    成果:

    2023年度
    サブモノレイヤー(SML)積層成長法により、2D/3D量子構造の作り分けに成功し、その素子化の検討を始めた。

    2022年度
    サブモノレイヤー(SML)積層成長法により、2D-3D遷移の条件の解明と、その機構の検討を行った。

  • 機能性ナノ薄膜の作製と物性

    神谷 格

    2017年度 - 現在

     詳細

    ナノ粒子を用いて薄膜を作製し、その光電子物性、特に粒子間相互作用等を調べている。例えば、コロイダルドット薄膜において、粒子間距離や配列、または下地の違いによる光・電子物性の変化等が対象。
     この様な微細な構造による物性の違いを利用し、センサー、または新たな機能部材の創成を目指す。最近では、金属粒子を用いた研究を進めている。

    成果:

    2023年度
    表面量子ドットの原子層堆積法による金属酸化物薄膜による無歪のパッシベーション被覆に成功し、素子化検討に取り組んでいる。

    2022年度
    原子層堆積法による金属酸化物薄膜の形成に取り組んでいる。

  • 酸化物蛍光体の開拓

    神谷 格, 岩田 直高

    2020年度 - 現在

     詳細

    酸化物薄膜を用いた短波長発光の探索。

    成果:

    2023年度
    酸化物薄膜の改質のためのインフラ整備。

    2022年度
    酸化物薄膜による短波長発光の可能性を見出した。

  • 2D to 3D growth transition of Submonolayer InAs/GaAs nanostructures

    Ronel Christian Intal ROCA

    2020年度 - 現在

  • InAs表面量子ドットと周囲との相互作用

    Hanif Mohammadi(転出・退職)

    2023年度 - 現在

     詳細

    インジウムヒ素表面量子ドットは、サイズ依存のスペクトル発光、表面電荷蓄積、および顕著な表面積対体積比を提供するため、ガス/化学物質のモニタリングに有望です。 私の研究では、高密度 InAs SQD サンプルを調製し、表面に吸着された化学種に対する感度を高める方法を開発しました。

    成果:

    2023年度
    In my research, I've developed methods to prepare high-density InAs SQD samples, enhancing their sensitivity to adsorbed chemical species on the surface. These findings were presented at SSDM and JSAP conferences. Using simulation software, I further demonstrated the possibility of adjusting SQDs' wavefunctions to effectively cover more surface area, thereby amplifying sensitivity. The results of this section have been submitted in three abstracts to the ICMBE conference. I constructed a gas chamber and a photoluminescence setup to test the sensitivity of SQDs to interaction with adsorbed chemical species with varying density and surface coverage by the wavefunction. Since the results of this study are unique and have not been reported before in this depth, I have aimed for ACS publications to publish these results in the following months.