一般教育分野
研究室名
社会科学(心理学)
研究室スタッフ
研究室タイトル
個人や組織,社会の問題解決に積極的に働きかける心の働きの解明
研究室概略
人は他者,組織/社会などとの相互交流の中で思考・行動しているが,時に不公平な状況により個人のウェルビーイングが脅かされる問題が発生する。この問題の解決方略として,エンパワーメント理論を発展させることを目指している。
個別研究テーマ
  • エンパワーメント概念の再考

    池田 琴恵

    2019年度 - 現在

     詳細

    エンパワーメントという言葉自体は,諸説あるものの17世紀の法律用語として公的権威・権利の付与という視点で登場しており,1950~60年ごろのアメリカ公民権運動において,その理念として用いられたことで知られている。心理学でもエンパワーメント概念は多くの研究によって発展してきたが,その一方で研究に潜む個人主義や古典的男性性の問題が指摘されている。こうした問題が続く背景には,エンパワーメントを個人内のものとして扱い,個人が社会に参画するパワーを得ていく過程における,組織やコミュニティとの力動関係を十分に検討していないことが挙げられる。そこで当該研究では,エンパワーメント概念を再考し,相互交流の中にある個人の変容を捉え,促す方略を検討している。

  • エンパワーメントの心理状態および組織(コミュニティ)状態の測定

    池田 琴恵

    2020年度 - 現在

     詳細

    個人の認識やスキルだけではなく,社会との関連性の中でエンパワーメントを捉え,可視化するにはどうすればよいのだろうか。エンパワーメントを測定する心理尺度はこれまでも「心理的エンパワーメント(Psychological Empowerment)」として作成されているが,これらは個人の認知や行動に焦点化したもので,他者や組織,コミュニティとの力動関係が十分に検討されていない。これまでにはなかった視点から,社会,組織,対人関係,過去経験の状況と個人の心理状態をダイナミックにとらえられる測定方略を開発することを目指している。

  • エンパワーメント促進プログラムの開発

    池田 琴恵

    2024年度 - 現在

     詳細

    これまでの研究の中で,理不尽さを感じても問題がより悪化することを恐れて我慢する人が多い傾向が分かってきた。一方で,理不尽さに対して怒りを爆発させる形での表出をすることは,当事者がスッキリしても,うまく問題に対処できているとはいえないだろう。理不尽な状況に陥った時にうまく自分を発揮して問題を解決する方略,また,我慢をしてきたことで知らず知らずのうちに内在化してしまったパワーレスな状況からの変容を促す方略を検討し,エンパワーメント促進プログラムとして構築していくことを目指している。