・高次元ブラックホールの厳密解と安定性
・量子ブラックホール
・重力波と電磁波のモード転換現象
・非線形電磁気場における光子の因果律
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一般相対性理論および超重力理論におけるブラックホールの厳密解構成とその安定性解析
富沢 真也, 鈴木 良拓(転出・退職)
2020年度 - 現在
詳細
この20年余りの研究成果から、高次元ブラックホールの多様な構造が明らかになりつつある.4次元の真空な定常時空においては、ブラックホールのトポロジーは球面だけに制限され、そのようなブラックホールを記述する解は、質量と角運動量というパラメーターだけで特徴付けられる「カーブラックホール解」が唯一つの解であることが数学的に証明されている.これはブラックホールの「一意性定理」と呼ばれ、4次元の一般相対性理論の最も大きな成果の1つと言える.これとは対照的に、高次元理論では、許されるブラックホールのトポロジーは球面1つだけではない.実際に、5次元時空の漸近平坦な真空解として、同じ質量と角運動量を持つが、トポロジーの異なる2つの解、球面のブラックホール解とリング形状のブラックリング解、そしてレンズ空間のブラックレンズ解が発見されたのである[Tomizawa and Nozawa(2016)].本研究では、特にブラックレンズに着目し、ブラックホールとは異なる物理的特性を明らかすることを試みる.
成果:
2024年度
We have constructed a new non-BPS solution describing an asymptotically flat, stationary, biaxisymmetric capped black hole in the bosonic sector of five-dimensional minimal supergravity. This solution describes a spherical black hole, while the exterior region of the horizon exhibits a nontrivial topology on a time slice. This solution extends our previously constructed three-parameter solution to a more general four-parameter solution. To derive this solution, we utilized a combination of the Ehlers and Harrison transformations and then impose appropriate boundary conditions on the solution’s parameters. It can be shown that the resultant solution is free from curvature, conical, Dirac-Misner string and orbifold singularities, as well as closed timelike curves on and outside the horizon. Characterized by four independent conserved charges—mass, two angular momenta, and electric charge—this solution reveals two distinct branches: a small bubble branch and a large bubble branch, distinguished by nonconserved local quantities such as magnetic flux or magnetic potential. This shows the nonuniqueness for spherical black holes, even among capped black holes. For equivalent sets of conserved charges, we have found that the large/small bubble branch can have larger/smaller entropy than the Cvetič-Youm black hole.2023年度
We have presented the first non-BPS exact solution of an asymptotically flat, stationary spherical black hole having domain of outer communication with nontrivial topology in five-dimensional minimal supergravity. It describes a charged rotating black hole capped by a disc-shaped bubble. The existence of the ``capped black hole'' shows the non-uniqueness of spherical black holes.2022年度
Applying the inverse scattering method to static and bi-axisymmetric Einstein equations, we constructed a non-rotating black lens inside a bubble of nothing whose horizon is topologically lens space of L(n;1). Using this solution, we discussed whether a static black lens can be in equilibrium by the force balance between the expansion and gravitational attraction. -
ブラックホールの厳密解構成に向けた解生成技法の開発とその応用
坂本 純一(転出・退職), 富沢 真也
2024年度 - 現在
詳細
純粋なアインシュタイン重力理論および超重力理論における厳密解の探索は、アインシュタイン方程式の数学的な構造や時空の幾何学的性質を深く理解する上で、極めて重要な意義を持つ。アインシュタイン方程式は非線形な連立偏微分方程式であり、その厳密解の構成は一般には非常に困難である。
しかしながら、D次元重力理論において (D-2)個の可換なKilling対称性を仮定することで、アインシュタイン方程式は二次元の可積分な場の理論の運動方程式へと簡約される。この可積分構造を活用することで、逆散乱法をはじめとした可積分系に由来する多様な解生成手法が適用可能となり、超対称性をもたない漸近的に平坦なブラックホール解を含む、多くの厳密解の構成が実現されてきた。
本研究の目的は、こうした可積分系に基づいた従来の手法をさらに拡張および発展させることにより、新たな超対称性を持たない漸近的に平坦なブラックホール解や、漸近的にAdS時空に近づく重力解の構成を目指すことである。とくに後者については、AdS/CFT対応への応用が期待されており、本研究で構成される漸近AdSなブラックホール解の物理的性質を対応する共形場理論(CFT)の視点から解析可能になる。なかでも、超対称をもたない漸近AdSなブラックホール解は現時点ではほとんど知られておらず、そのようなブラックホール解の構成に向けた本研究は、ブラックホールの動力学や熱力学のより深い理解を導くことが期待される。
純粋なアインシュタイン重力理論および超重力理論における厳密解の探索は、アインシュタイン方程式の数学的な構造や時空の幾何学的性質を深く理解する上で、極めて重要な意義を持つ。アインシュタイン方程式は非線形な連立偏微分方程式であり、その厳密解の構成は一般には非常に困難である。
しかしながら、D次元重力理論において (D-2)個の可換なKilling対称性を仮定することで、アインシュタイン方程式は二次元の可積分な場の理論の運動方程式へと簡約される。この可積分構造を活用することで、逆散乱法をはじめとした可積分系に由来する多様な解生成手法が適用可能となり、超対称性をもたない漸近的に平坦なブラックホール解を含む、多くの厳密解の構成が実現されてきた。
本研究の目的は、こうした可積分系に基づいた従来の手法をさらに拡張および発展させることにより、新たな超対称性を持たない漸近的に平坦なブラックホール解や、漸近的にAdS時空に近づく重力解の構成を目指すことである。とくに後者については、AdS/CFT対応への応用が期待されており、本研究で構成される漸近AdSなブラックホール解の物理的性質を対応する共形場理論(CFT)の視点から解析可能になる。なかでも、超対称をもたない漸近AdSなブラックホール解は現時点ではほとんど知られておらず、そのようなブラックホール解の構成に向けた本研究は、ブラックホールの動力学や熱力学のより深い理解を導くことが期待される。成果:
2024年度
2024年度は、漸近的にAdS時空へと近づくブラックホール解の構成を目指し、従来の可積分系を用いた重力解の構成手法の拡張に取り組んだ。
その結果、最近発見された複数のBTZブラックホールが3次元球面上に局在し、超対称をもたない漸近的AdSなブラックホール解を、可積分系に基づく手法によって構成することに成功した。
この研究成果は、「漸近平坦ブラックホールからのAdSブラックホール解の生成手法」というタイトルで、日本物理学会2025年春季大会にて発表を行った。
現在、上記の成果を本学所属の富沢真也氏との共著論文として執筆中であり、近日中にarXivへの投稿を予定している。2024年度は、漸近的にAdS時空へと近づくブラックホール解の構成を目指し、従来の可積分系を用いた重力解の構成手法の拡張に取り組んだ。
その結果、最近発見された複数のBTZブラックホールが3次元球面上に局在し、超対称をもたない漸近的AdSなブラックホール解を、可積分系に基づく手法によって構成することに成功した。
この研究成果は、「漸近平坦ブラックホールからのAdSブラックホール解の生成手法」というタイトルで、日本物理学会2025年春季大会にて発表を行った。
現在、上記の成果を本学所属の富沢真也氏との共著論文として執筆中であり、近日中にarXivへの投稿を予定している。