特任教員部門
研究室名
栁瀬明久特任准教授研究室   
研究室スタッフ
研究室タイトル
パルスレーザー加熱による半導体微小球の作製
研究室概略
誘電体微小球(直径 数~100 µm)は、微小光共振器として狭い空間に大きな光エネルギーを閉じ込める性質が非常に高く、微小レーザーなど光デバイスへの応用が検討されている。半導体微小球は、屈折率が大きい利点と電流注入型発光デバイスへ発展する可能性により、特に有望な材料といえる。微小球を光学デバイスへ適用するためには、真球に限りなく近い形状、精密なサイズ制御、高いサイズ均一性の3条件を同時に満たすことが必要であるが、この3条件を高度に満たす微小球作製は実現されていない。
本研究室では、光学デバイスへ応用可能な高い真球性を有するゲルマニウム(Ge)微小球(直径3~10 µm)の作製について、一定の面積をもつパッチ状Ge薄膜をナノ秒レーザー照射によって加熱・溶融する方法を独自に探求している。この方法は、溶融した薄膜が、基板をぬらさない場合に球形に近づくことを利用する。しかし、溶融状態を経るプロセスでは、相変化にともなう体積変化が生じ、高い真球性の獲得は容易ではない。実際には、1個のパッチ状薄膜を1個の球状粒子に連続的に変形させる過程と球状粒子から真球性の高い微小球を得る過程からなる2段階プロセスが必要である。このプロセスに最も適する薄膜構造ならびにレーザー照射方法の解明を進めている。
主な研究テーマ
・パルスレーザー加熱によるパッチ状Ge薄膜の微小球化
・薄膜パターン作製用親水性高分子テンプレートの作製
個別研究テーマ
  • Ge薄膜の微小球化に与える基板のナノ凹凸構造の効果

    栁瀬 明久

    2017年度 - 現在

     詳細

    研究の目的は、基板表面に形成したナノ凹凸構造が、パッチ状Ge薄膜の粒子化過程に与える効果、特に、溶融したパッチ状薄膜全体の収縮速度に与える効果を明らかにすることである。加えて、基板表面の凹凸構造によって、ぬれる系はよりぬれ、ぬれない系はさらにぬれなくなる。SiO2上の溶融Geの接触角は120~150°と報告されており、SiO2表面のナノ凹凸構造は溶融Geのみかけの接触角を大きくすると予想され、得られた粒子の真球性の向上に寄与すると考えられる。

    成果:

    2022年度
    ナノ凹凸構造の作製に関して、ポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)のジブロック共重合体(PS-b-PMMA)のラメラ構造を利用し、ラメラ構造が形成されたPS-b-PMMA膜に紫外線を照射し、その後酢酸によってPMMA相を除去した。これによって、SiO2/Si基板上に100 nm以下のサイズの構造からなるエッチング用マスクを作製した。AFM像によると、得られたパターンの高さは15 nmほどであった。