物質工学分野
研究室名
触媒有機化学研究室   
研究室タイトル
金属触媒の精密設計に基づく実践的な分子変換反応の開発と応用研究
研究室概略
有機金属化学を基盤とし、均ー系分子触媒から担持型の固体触媒に至るまで幅広く金属触媒を設計・合成し、これらを用いて現代社会に求められている地球環境に調和した省資源 ・省エネルギー型の精密な物質合成プロセスの創出を目指している。
主な研究テーマ
・担持型金属 クラスターの創製
・可溶性金属サブナノクラスターの科学
・実践的な触媒反応の開発
個別研究テーマ
  • 遷移金属とヒドロシランによる新規な官能基変換反応の開発

    本山 幸弘

    2013年度 - 現在

     詳細

    ヒドロシランを還元剤として用い,多重結合を有する官能基の効率的な変換反応を促進しうる遷移金属触媒の開発を行っている.

    成果:

    2022年度
    これまでに我々は市販のPd/CにCu(acac)2やCu(OAc)2を添加するとエステルの部分還元体であるアルキルシリルアセタールが選択的に生成することを報告している.今回,Pd/Cの代わりに0価のPt錯体を用いても同様にアルキルシリルアセタールが得られること,また銅塩の代わりにAg塩も適用可能なことを見出した.

    2019年度
    活性炭存在下,PdCl2と1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンを用いるとO–t-Bu部のC–O結合の開裂反応が容易に進行することを見出した.この手法を用いることで,t-Bu基を有するエステル,エーテル,Boc基の脱保護反応を穏和な条件下で達成できる.添加剤である活性炭は触媒活性の維持だけでなく,反応後のPd種の除去にも重要であることを明らかにした.

  • 金属クラスターの創製と触媒反応開発

    本山 幸弘

    2013年度 - 現在

     詳細

    新規な金属クラスターの合成法を開発し,これらを炭素ナノ繊維や活性炭,金属酸化物上に担持した不均一系触媒の創成や可溶性金属触媒へと展開し,これらを用いた効率的な水素化反応への応用研究を行っている.

    成果:

    2022年度
    活性炭存在下でKarstedt’s触媒やPt(dba)2錯体を用いると芳香族化合物の環水素化が穏和な条件下で進行することを見出した.本触媒系は多様な基質に適用可能であり,金属残査を含まない生成物を収率良く得ることができる.添加剤である活性炭は触媒活性の維持だけでなく,反応後のPt種の除去にも重要であること,同様の活性維持効果はビニルシロキサン類でも見られることを明らかにした.