物質工学分野
研究室名
エネルギー材料研究室   
研究室タイトル
持続可能な低炭素社会の構築に寄与する革新的機能性材料の開発
研究室概略
固体内に存在する電子のエネルギー 分布、運動塁分布、スピン分極や、固体内の原子の振動などを、実験と理論計算を駆使して精密に解析することで、物理学的観点から、持続可能な低炭素社会の構築に寄与する機能性材料を生み出す研究をしている。
主な研究テーマ
・電子構造解析に基づく環境調和型熱電材料の開発研究
・革新的熱流制御素子(熱ダイオード・熱スイッチ)の開発
・高温超伝導体の電子構造と電子輸送現象
・強相関電子系の電子輸送現象に関する基礎研究と応用研究
個別研究テーマ
  • 高性能熱流スイッチング素子/熱ダイオードの開発

    竹内 恒博

    2017年度 - 現在

     詳細

    固体の熱伝導度は,伝導電子,フォノン,および,その他の集団励起(例えばマグノン)などにより決定される.微視的観点(電子構造,電子散乱,フォノン分散,フォノン散乱,集団励起の分散・散乱)を固体物理学に基づき解析し,実用化可能な性能を示す熱ダイオードおよび熱流れスイッチイング素子の開発研究を行っている.

    成果:

    2023年度
    イオン液体を用いた電気2重層型熱流スイッチング素子を開発し,0.2秒で動作し,2.7倍の熱粒変化を生み出せる熱流スイッチング素子を開発することに成功した.

    2022年度
    Ag2Teにおいて巨大な磁気熱伝導度効果が観測されることを見出し,熱スイッチ素子への応用を切り開いた.

    2022年度
    Ag2S1-xSex (0≤ x≤ 0.6)において,電子熱伝導度と格子熱伝導度を定量的に解析し,熱電材料,熱ダイオード,熱スイッチに最適な組成を特定した.

  • 重い電子系をベースとした高性能熱電材料の開発

    松波 雅治, 竹内 恒博

    2017年度 - 現在

     詳細

    高性能熱電材料を開発するためには,高いゼーベック係数を有する物質を探索することが重要である.ゼーベック係数はフェルミ準位上の状態密度の勾配に比例するため,近藤共鳴ピークを有する重い電子系はその有力な候補となる.本研究では,重い電子系の電子構造を制御することにより新規熱電材料の開発を目指す.

  • 価数揺動を示す準結晶におけるフェルミ準位近傍の電子状態の研究

    松波 雅治, 竹内 恒博

    2017年度 - 2019年度

     詳細

    近年発見された価数揺動を示す準結晶においては,フェルミ準位上で「擬ギャップ」と「近藤共鳴ピーク」という二つの特徴が競合・共存すると考えられる.本研究では光電子分光を用いて価数揺動準結晶におけるフェルミ準位近傍の電子状態を明らかにする.

  • ZT>3を示すバルク熱電材料の創製

    竹内 恒博

    2022年度 - 現在

     詳細

    建設的な電子構造制御および結晶粒制御を駆使して,既存の熱電材料の性能を凌駕する性能を示すバルク熱電材料を創製する.

    成果:

    2023年度
    ナノバルク熱電材料を作製するプロセスにおける試料参加の問題を解決し,無次元性能指数ZT>5を示すバルクSI-Ge系熱電材料の開発に成功した.

    2022年度
    硬X線光電子分光を用いて銀カルコゲナイド系材料において,電子相関が電子物性に及ぼす影響を解明した.