物質工学分野
研究室名
フロンティア材料研究室   
研究室スタッフ
研究室タイトル
ガラス構造と物性の相関を解明、 光デバイスの究極の性能を追求
研究室概略
シリカ系ガラス材料の構造を制御して、高機能フォトニクスデバイスの実現を目指している。ガラス材料ゆえの構造自由度を最大限に活かすべく、構造と物性の相関を詳しく調べることが研究の焦点となっている。
主な研究テーマ
・シリカ系ガラスにおける構造と物性の相関の解明
・超低損失ファイバの開発
・可視ファイバレーザーの開発
・衛星間光通信用ファイバアンプの開発
・高温ファイバセンサの開発
個別研究テーマ
  • 衛星間光通信用ファイバレーザーの開発

    齋藤 和也

    2016年度 - 現在

     詳細

    衛星間光通信の需要が高まっているが、宇宙線によるファイバレーザー/アンプの劣化が大きな問題となっている。本研究では宇宙線耐性に優れたファイバレーザーの開発を行っている。また、高効率化にも取り組んでいる。

    成果:

    2022年度
    我々が見出したGe共添加による宇宙線耐性の向上技術を活かしつつ、高効率化を達成するファイバの開発を進めている。

  • 高温ファイバセンサの開発

    齋藤 和也

    2020年度 - 現在

     詳細

    ブリルアン散乱光を用いた分布型ファイバセンサでは、光ファイバのブリルアン周波数シフト(以下BFS)と温度の関係をあらかじめ測定し、それに基づいて算出されたBFS-温度変換式を用いて、光ファイバの長手方向に測定したBFSから各位置の温度を決定する。比較的温度の低い環境下(常温~300℃以下)における温度測定では、この方法で特に問題とならなかった。近年、プラント業界、重電業界、石油・天然ガス上流業界などの産業界から、高温環境下(300℃以上)における長時間(数万時間)の温度測定の需要が高まっている。光ファイバは高温環境下で構造緩和および応力緩和と呼ばれるガラスの構造が変化する現象が起きるため、BFSが経時的に変化する。この結果、測定したBFSから変換された測定温度と実温度との差ができ、それが測定誤差となる。本研究では、高温環境下での精度の高い温度測定が可能な光ファイバセンサの実現を目的としている。

    成果:

    2022年度
    高温環境下におけるブリルアンシフトのドリフトの原因を明らかにし、その補正方法を見い出した。

  • 可視ファイバレーザーの開発

    齋藤 和也

    2015年度 - 現在

     詳細

     青色LD励起の可視ファイバレーザーの開発を目的としている。

    成果:

    2022年度
    我々が世界初で達成したDyAlGe添加黄色ファイバレーザーのフォトダークニングの抑制法の探索を続けている。本年度は、ある添加物によりこれまでの劣化速度を半分以下にすることに成功した。

  • シリカガラスの構造と光物性の相関の研究

    齋藤 和也

    2017年度 - 現在

     詳細

    シリカガラスは、伝送用ファイバ、ファイバレーザー/アンプ、ファイバセンサ等の広範な領域で使用されている。これらの特性をさらに向上させるためには、シリカガラスの構造と光物性の相関を明らかにすることが重要である。本研究では、究極の特性を得るべくシリカガラスの研究を進めている。

    成果:

    2022年度
    シリカガラスにおけるB添加効果を明らかにしつつある。

  • 超低損失光ファイバの開発

    齋藤 和也

    2017年度 - 現在

     詳細

    超低損失ファイバの研究開発に、①ファイバ紡糸中のガラス形成過程制御、②添加物による構造緩和の促進および濃度揺らぎによる光散乱増加の抑制、の2つの観点から取り組んでいる。現在、0.14dB/km以下のK添加シリカファイバの実用化技術の検討を進めている。

    成果:

    2022年度
    K添加シリカガラスの構造緩和時間を正確に測定し、最適なファイバ紡糸条件を明らかにした。