機械システム分野
研究室名
総合研究教育ユニット(機械システム分野)   
研究室スタッフ
研究室タイトル
複雑流れ場の構造解明とその流れ制御
研究室概略
さまざまな乗り物や建築物周りに生じる非定常流れの構造を解明し、それら流れの制御により性能向上を図る。
主な研究テーマ
・円柱周りや平板上に生じるはく離流れなどの基本的流れの研究
・流れ中の物体に生じる自励振動による空力特性と流れ構造の変化
個別研究テーマ
  • 帯電した物体による流れ制御

    瓜田 明

    2017年度 - 現在

     詳細

    2016 年にアルミテープチューニングと呼ばれる自動車の性能向上法が報道された.公開されている特許によると,帯電した自動車から静電気を取り除くことにより,自動車周りの荷電粒子を含む大気の流れが改変される,ということであるが,このような現象は学術的には知られていない.これが事実であるならば,気流中の物体を適当に帯電させれば流れ場を制御することが可能なはずである.そこで本研究では,風洞気流中に設置した円柱に対して,気流速度および帯電量をさまざまに変化させて,帯電した物体が流れに与える効果およびその効果が現れる条件を明らかにする.また,その際の流れ場の詳細を明らかにし,帯電した物体が周囲の流れ場に影響を及ぼすメカニズムを解明する.さらに帯電した翼型模型の空力特性試験を通じて,流れの制御手段としての有用性を実証する.

    成果:

    2022年度
    流れ中の物体だけでなく,気流を間接的に帯電させることにより流れ制御を行う手法を考案した.

  • 空気力により変形する柔軟な翼の空力特性に関する研究

    瓜田 明

    2017年度 - 現在

     詳細

    近年では,航空機の軽量化に伴い,FRPなどの必ずしも剛体とはみなせないような新しい素材が多く用いられるようになってきている.また,災害救助などに用いられる小型無人航空機では,障害物などとの衝突時の被害を低減するため柔軟な構造にすることが有利であると考えられる.そのため,空気力に起因する翼の変形を考慮することの重要性が今後増してゆくと考えられる.本研究では,矩形平板翼を対象とし,ほぼ剛体とみなせる「剛体翼」と種々の剛性を有する「柔軟翼」を用いて,これらに作用する空気力および翼に生じる運動を明らかにし,翼の柔軟性が流れ場および翼の空力特性に及ぼす影響とそのメカニズムを解明する.これまでに,翼に作用する空気力の定量化により,柔軟翼では,ねじり振動により一時的に剛体翼における最大揚力迎え角以上の迎え角に達してもさらなる揚力の増加が続き,時間平均で見ても剛体翼と比較してはるかに大きな最大揚力が得られることを明らかにした.また,この揚力の増加量は,ねじり振動の振幅と明瞭な相関があり,さらに,ねじり振動の運動方程式に物理的な観点に立って次元解析の手法を適用した結果,翼素材の密度,横弾性係数,翼のアスペクト比,および流速により構成される無次元速度がこれらの現象を支配する重要なパラメータの一つであることが解明された.また,翼まわりの流れ計測により,ねじり振動に起因して柔軟翼の上下面に生じる渦が,翼上面のはく離域を縮小させ,揚力の増加につながっていることが示された.しかし,無次元速度の増加に伴い揚力係数の増加量の分岐が生じるなどの現象も見られるため,今後は,翼周り流れと柔軟翼の運動の詳細を,種々の条件の下で実験と計算の両面から調査し,不明な点を解明する.

    成果:

    2022年度
    限定された条件の下ではあるが,柔軟な翼のねじり振動の発生要件として支配的な,2つの無次元パラメータを特定した.